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音楽祭メインコンサートで演奏されるベルリオーズの劇的交響曲《ロメオとジュリエット》。
その作曲家であるベルリオーズは経済的に困窮していた時に、ある音楽家が大金をプレゼントしてくれたおかげで、《ロメオとジュリエット》の作曲に専念できたといわれています。
さて、その音楽家は誰でしょうか?
1)ニコロ・パガニーニ
2)フェリックス・メンデルスゾーン
3)フランツ・リスト
4)ジョアキーノ・ロッシーニ
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【答え】1)ニコロ・パガニーニ
【解説】ベルリオーズに大金の2万フランをプレゼントしたのは、ヴァイオリニストのパガニーニでした。演奏家としても大成功を収め、遺品としてストラディヴァリウスが11挺も残されていたパガニーニですから、彼にとっては2万フランも大した出費ではなかったのかもしれません。
それにしてもベルリオーズはなぜ才能がありながら、経済的な困窮に陥ってしまったのでしょうか。それはオペラの失敗からでした。手っ取り早く収入を得るために、彼は1838年の暮れに「幻想交響曲」と「イタリアのハロルド」を自ら指揮して演奏会を行います。この演奏会の観客の1人がパガニーニで、いたく感激したパガニーニがベルリオーズに出資を申し出たのでした。
こうして大金を得たベルリオーズは、経済的な不安を感じることがなくなったため、7ヶ月の間、大作《ロメオとジュリエット》の作曲に没頭します。初演は1839年11月24日、パリ音楽院大ホールにて。自ら指揮をして臨んだ初の演奏会は大成功を収め、年内に2度も再演されることになりました。ベルリオーズ自身の「回想録」にもある通り、《ロメオとジュリエット》は彼が生涯のうちでもっとも集中して書き上げた作品となりました。またこの作品中にある「愛の情景 Scène d'amour(第三部)」を自らの最高の作品の一つと考えたそうです。ぜひこの機会に聴いてみてください。